はじめに
私は「トロンボーンがとにかくもっと上手くなりたい!」
そんなピュアな想いだけで日本を飛び出し、
22歳~28歳(2010年~2016年)まで6年間ドイツ留学を経験しました。
この体験が誰かの希望や後押しになることを願って書き綴ります。

留学のきっかけ
日本の音大1,2年生の時、私は歯科矯正と2度のあごの手術をしました。
その経験は別記事で書いているからよかったら読んでね。
→矯正中の金管吹き、どう乗り越えた?
大学3年でようやく歯科矯正が終わり、
よし!これからたくさん練習して上手くなるぞ!
とそんな想いとは裏腹に、時間は待ってくれず、
気づけばあっという間に
卒業が目の前に迫っていました。
当時、
「この状態のままでは、プロのトロンボーン奏者には到底なれない」
「もっと学びたい!」
そんな想いから、日本ではなく海外に留学するということに目が向きました。
とはいえ、まったく海外にツテがなかった私は、留学斡旋会社に問い合わせました。
「音楽留学したいんですけど、どうやったらできますか?!」
といった感じで。
留学と一言に言っても、どの国にするか、
どんな勉強したいかによって変わってくるかな
と感じます。
私はアメリカなども検討しましたが、
元々ドイツやヨーロッパに憧れていたこともあり、
クラシック音楽の本場に身を置いて勉強したいと思い、留学先をドイツに絞りました。
そこから、紆余曲折ありドイツ留学の長い長い旅が始まったのです。
ドイツに思い切っていったけど、全然音大に受からない?!
留学を決め、最初に滞在したのはフライブルクという自然豊かな南ドイツの街でした。
ホームステイをしながら語学学校に毎日通い、
トロンボーンの練習や
プライベートレッスンを受けながら受験準備をしました。
日本とは全然違う環境や
言葉の壁を感じながらも海外生活を満喫していました。

ドイツはほとんどすべての都市に音楽大学があり、
音楽家にとっては最高の環境です。
私は日本の音大を卒業していたので
大学院(マスター)を受験しました。
初めて受験したのが、2010年の夏。
ドイツは1年で2回、夏と冬に受験のチャンスがあるということもあり、
とりあえず力試しと思い、2校受験するものの見事に不合格・・・(´;ω;`)ピエン
最初から合格するのは難しいよな、
そんな気持ちでした。
そして、冬の受験。
ここで決まらなかったらもう日本に帰国するという気持ちでいましたが
まさかのまた不合格・・・。
プライベートレッスンも定期的に受けて
それなりに準備してきたつもりでしたが、
まさに「つもり」だったのです。
3回受験してダメだった自分は
もう、ダメだ。あきらめよう。。
でも、そんな自分にも腹が立ち、
このまま日本に帰りたくない!
そんな葛藤を抱えてやり場のない気持ちを
当時、仲良くしてもらっていた、日本人のトロンボーン奏者の方に泣きながら相談しました。
そして、
「なっちゃんはこれまでたくさん練習やレッスンも受けてすごく成長してきたと思う。
このまま帰ってしまうのはもったいない。
もう一度だけ本気で入試受けたらどうかな?」
そんな風に励まされました。
両親を説得し、ラストチャンスをもらって
本気の本気でトライすることを決めました!
ピンチはチャンス!○○との出会いで道が開けた!
何度も不合格を目の当たりにすると
自信がなくなり、メンタルもかなりダメージを受けます。
当時の私は自信を失い、本番で緊張のあまり本領を発揮できていませんでした。
いろんな人にアドバイスをもらったり、自分でもいろいろと模索し
「アレクサンダーテクニーク」に出会います。
アレクサンダー・テクニークとは…
※JATS 日本アレクサンダーテクニーク協会より引用
アレクサンダー・テクニークは、 F.M.アレクサンダーの発見した原理に基づいて、心身の不必要な緊張に気づき、 これをやめていくことを学習します。
フルート奏者であり、
アレクサンダーテクニークの講師の方に
直接レッスンを受け、
「心とからだの結びつき」がいかに重要かを学びました。
様々な固定観念により頭で考えすぎていたことに気づいたり、
こうしなきゃ、こうあるべきという思いを手放すことにより、
身体が自由に楽に動かせるようになり、演奏の質が上がったのです!
9度目の正直 恥を捨ててがむしゃらに演奏した結果…?
そして迎えたラストチャンスの入試。
ドイツの音大は何校でも受験可能(しかも受験料が安い!)
なので、私は最後のチャンスと思い、ドイツ国内6校を受験しました。
北から南まで受験シーズンは、電車に乗ってトロンボーン担いで
ドイツ全土を移動しまくりました(^^;)
そして迎えた、合格発表!
結果は…
6校受験して、なんと、
2校合格!!!!
1校でも合格できたらとすがる思いだったのに
まさかの2校合格に、飛び上がるほど喜びました!!
(実際にフライブルクの街中でジャンプして喜びを表現しましたw)

振り返れば、全部で9校受験したことになります。
それは私にとっては、少し恥ずかしいことで黒歴史でもありました。
それは、やっぱりスマートに一発合格した方がかっこいいと思っていたからです。
でもかっこつけるのやめて、
余計なプライドを捨てて、
がむしゃらにチャレンジして最後まであきらめなかった。
そうやって掴んだ結果です。
入試では、
緊張や不安で押しつぶされそうになっていた私に
アレキサンダーテクニークの先生が言ってくれた印象的な言葉があり、
それを何度も思い出していました。
「受験して、もし不合格になっても死ぬことはない。
あなたの人生は続くし、これまでのあなたの努力は消えることはない。
だから今のあなたで、あなたらしく演奏したらいいわ。」
その言葉に勇気づけられ
未来の心配を一旦手放し、
今、この瞬間に集中して演奏しました。
今ここに100%集中できたからこそ、
本来の自分らしい演奏が発揮され、
それが結果となって表れたのだと思います。
というわけで、私のドイツ留学は1年の浪人期間を経て
ようやく音大ライフがスタートしました♪

つづきはまた次回!お楽しみに♪